人生を好転させるパーソナルジム【THE PERSONAL GYM】
2024年5月、私が住んでいる賃貸マンションが火事になりました。2階と3階が全焼する大きな火事でしたが、幸いにも私の住んでいる部屋は無事でした。まさか自分が住んでいる建物で火事が起こるなんて思ってもいなかったのでびっくりしましたが、けが人もおらず今は普通に生活できているので大丈夫です。
火事の時の行動、その後しばらく家に入れない、停電になるなど普段経験できないことがたくさんあったので、備忘録として記録したいと思います。
茶色い煙
この日は当直明けでたまたま家にいました。5月という事もあり気候がすごく良かったので窓を開けて過ごしていました。16時頃にわんこのお散歩に行った後、少し早いけど夜ご飯をあげました。明日から妹家族と父親と旅行に行く予定だったので、準備もかねて17時過ぎに薬局へ行く事に。パパっと買い物をして15分くらいで家へ向かうと家の方から茶色い煙が見える…。
なんだあれ?と思いつつあまり気にしていなかったのですが、家のすぐ近くまで来ると私の住んでいる賃貸マンションの2階から出ていることが分かりました。すぐそばには消防車が来ていて、立ち入り禁止の黄色いテープが。
「あ、やばい火事だ」
すぐに今の状況を理解しました。
避難
火事だと分かったと同時に
「わんこが家にいる!窓も開いたままだ!」
と思い、車は路駐して猛ダッシュ。消防士に
「近づいたらダメです!」
と言われましたが
「家に子供がいます!3列隣だからまだ大丈夫なので迎えに行きます!」
犬がいると言うともしかしたら行かせてくれないかもと思い、瞬時に子供と言いました。人間の子供なら迎えに行かせてくれるだろうと。
「分かりました!一緒に行きます!」
と言われ2人で猛ダッシュ。だけど普段から階段を使って上がっていたので、慣れたステップで上がっていく私のあまりの速さに消防士はまさかのついてこれず笑
後ろを振り返ると消防士はいませんでした。まぁいいか笑
家に入るとわんこがグーグー寝ていました。すぐに抱きしめて生きている事を確認。距離的にまだ大丈夫と分かってはいたけど生きてることに一安心しました。
よし、避難の準備だ!
と、気持ちを切り替えて準備開始。パソコンとHDDと水を持ち、窓を閉めてわんこを抱きしめ家を出ました。家に着いてから出るまでの時間1分ほど。恐ろしく冷静でした。
消防車到着
家を出るとさっきよりも煙が出ていて焦げ臭い。消防車もどんどん来て家の周りに集まり始めました。車を路駐していたおかげで現場から出す事ができ、100mほど離れた所に停車しました。
周りを見渡すと非難した住民、10台以上の消防車、警察官、野次馬など人で溢れかえっていました。
黒い煙
茶色い煙からだんだん黒い煙に変わっていました。ふわふわ出るのではなく、ものすごい勢いで塊となって煙が立ち込めていました。もういつ火が出てもおかしくない状況。だけどまだ消火活動は始まらず。ホースの準備をしたり、防護服に着替えたり、地面に毛布を敷いてボンベを並べたりと突入準備が進められていました。道路の前は規制線が張られていたので車は通れなかったのですが、歩行者や自転車は通れたので学校帰りの学生がスマホで写真を撮りまくっていました。
炎が出始める
ドア側から消火活動が始まったのか、廊下が黒い煙でおおわれています。マスクやボンベを背負って煙の中に突入する消防士と、前が見えないんじゃないかと思うくらいの真っ黒な煙。
突然窓が割れてついに火が飛び出してきました。ベランダ側から消防士の消火活動が始まりましたが、火の勢いは全く衰えず、生き物のように暴れくるっていました。
3階がから煙→炎が出始める
鉄筋コンクリート造りだからか、火は横に広がらず上へ広がっていました。3階のベランダから少しずつ黒い煙が出始めて
「ついに3階も被害が出てきたのかな…」
と思っていたら突然3階の窓ガラスが割れて火が飛び出してきました。とんでもない勢いでハシゴから消火活動をしていた消防士を襲います。消防士は冷静で、少し下がりつつ水をかけ続けていました。
佐川急便
佐川急便の再配達を依頼していたのですが、この状況じゃ受け取れないよなぁ…と思い佐川急便に電話。
「もしもし、再配達を依頼していた石井なんですが、家が火事になってまして道路が封鎖されてて…。あ、私の部屋は大丈夫で今は車で避難しています。荷物は受け取れるんですが後日にした方が良いですか?」
「あ、今近くにいるんで車まで歩いて持っていきましょうか?」
という事で、歩いて車のところまで荷物を持ってきてくれた佐川急便(笑
プロだ…笑
燃えさかる炎の真横で荷物を無事受け取りました。
鎮火と思いきや…
19時45分頃、ようやく鎮火したかと思いきや、突然火が吹き返しました。荷物が多い家だったらしく、消しても消しても荷物の下で火がくすぶっていたそうです。
再び火柱をあげて燃え出し、消防隊が水をかけ続けていました。
状況確認
明日から一緒に旅行する妹に電話をして状況を説明したら、「とりあえずこっちにおいで」と言ってくれました。行きたいけど万が一私の家に被害があったら…と思うと現場からなかなか離れられず、とりあえず状況を確認するために消防士っぽい人に話しかけてみました。
「あのー…仕事中すいません。この後いつ頃家に入れるか分かりますか?」
「あ、僕たち消防士じゃなくて消防団なんです。なのでこの後の事は分からなくて。オレンジの服を着ている人が消防士なので、そちらに聞いてもらえますか?」
と言われ、消防車の前で立っていた消防士に
「あの、ここの住民なんですがいつ頃入れますか?」
「どうですかね…。向こうに司令官がいるので、その人に聞いてもらっていいですか?」
と指さされた方向は黄色テープが張られた規制線の奥でした。
「え、行っていいんですか?」
「あ、どうぞ」
マジか。じゃあ遠慮なく…。
規制線を越えて向こうに行くと、消防士、救助隊、警察官などたくさんの人がいて、地面に毛布が敷かれてその上に使う前のボンベ、使った後のボンベが並んでいました。
その近くには突入準備をしている消防士、突入を終えて出てきた真っ黒な消防士、上半身裸で休憩している消防士がいました。
その真ん中にいる私…マジで場違いすぎる笑
「何やってんの!関係ない人は出ていきなさい!」
とか言われても不思議じゃないのに、なぜか誰も声をかけてこない。
火事現場の目の前で、消防士・救助隊・私・警察官・消防団の順で並んでしばらく火事の方を見ていました笑
さっき教えてもらった司令官が誰かわからないし、仕事中の人たちに話しかける勇気もなくしばらく立っていたら警察官が近づいてきて
「どうかしましたか?」
と声をかけてくれました。
「この後どんな感じの流れですか?今日は家には入れますか?」
「火が消えたら現場検証があって、その後なら入れると思います。今日の夜中か、明日の朝には入れると思いますよ」
なるほど。今日入れるか微妙なのか。お礼を言って邪魔にならないうちに退散しました。
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鎮火
20時頃、ようやく完全鎮火。この頃には辺りは真っ暗で住民達がマンションをボーっと見ていました。
幸い5月だったので寒くも暑くもなく、着の身着のままで逃げてきた人たちも大丈夫そうです。
妹の家へ
しばらく様子を見ていたけどまだまだ入れなさそうだったので妹の家へ行く事にしました。見ていないうちに自分の部屋まで燃えていたら…と思ってなかなか現場から離れられなかったけど、火が消えたのでこれ以上被害は出ないはずとようやく安心して離れることができました。
妹の家に着いてからお風呂、ご飯を食べさせてもらい、火事の話で持ち切りでした。
明日から妹家族と父親と旅行へ行く予定だったので、このまま泊まらせてもらうか悩む所だけど、何の準備もしていないしわんこの朝ごはんも無いし…。早めに夜ご飯をあげておいてほんとに良かった。
帰宅
0時頃、家がどうなったか見に行くと建物まるごと停電していて真っ暗。ですが家の中には入れました。トイレは流れたし、水道も問題なかったので水は大丈夫そう。ガスも大丈夫でした。
が、停電のおかげで冷蔵庫はアウトでした。幸い明日から旅行だったので冷蔵庫はほぼ入っておらず、冷凍庫のみ食べ物があったので持てるだけ持って妹の家の冷蔵庫に入れさせてもらう事に。
玄関に乾電池式の人感センサー付LEDランタンを置いていたのでライトもあるし、深夜だからもう寝るだけだし何とか自分の家で過ごせそう。という事でわんこを連れて家に帰る事にしました。
夜中なのに家で過ごさせてくれた妹に本当に感謝。
旅行へ
次の日起きて家の外を見ると消防士が円陣をくんで話し込んでいました。これから火事の原因を調査するっぽい雰囲気。
とりあえず旅行の準備をしてわんこは母に預けて出発です。
明らかにこれから旅行バレバレの服装とバッグを持ちながら消防士の間を抜けていくのが気まずい。
帰宅。停電中…
旅行から無事帰宅。停電はまだ続いていたけど母が工事現場用のライトを置いてくれていました。
これはありがたい。さっそくライトを付けてみると異常な明るさで、ライト1個で全部屋が煌々と光っていました。
これは…やりすぎ笑 でもめちゃくちゃありがたい。母は偉大ですね。
銭湯、コインランドリーへ
旅行疲れもあってとりあえずお風呂に入りたかったので家の近くの銭湯へ。そこで晩御飯も食べました。次にコインランドリーへ。大量の洗濯物を洗って乾燥機もかけて旅行の荷物は片付け完了。
正直めちゃくちゃ疲れました。停電になってなければ家でお風呂も洗濯物も済ませれたし、電気がない事の不便さを痛感。携帯の充電もできないのでできるだけ節約して過ごしました。冷暖房を使わない季節だったのが本当に救いです。わんこは母の家にいたのですが心配だったので迎えに行く事にしました。停電中の家に連れて帰るのは不安だったけど一緒にいる方が安心できたし、会うとわんこも喜んでくれたので良かった。
停電回復
旅行から帰ってきた次の日の夕方に停電が回復しました。電気がついたときの感動は忘れられないです。ライフラインの大切さを痛感。
火事になり感じたこと
まさか自分の住んでいる建物が火事になるなんて思ってもみなかったので、たくさんの反省点や改善点に気づかされました。消火器の場所や避難通路など、知っておいた方が良いと頭では分かっていたけど自分は大丈夫と謎の自信があった事も今回の件で実感できました。ケガはなかったし部屋も大丈夫だったけど本当反省ですね。
良かった点は思った以上に自分が冷静に行動できると分かった事。普段から職場の救急で鍛えられているのか、何が必要で何を切り捨てるか冷静に判断していました。正常性バイアスが働くこともなく、自分で行動できたのは日ごろのたまものですね。
あと、ベランダの間にある防火壁は最強でした。ベランダで火柱が上がっているのに防火壁は無害でした。色も変わっていなかったのでびっくり。すご過ぎる。
あと消防士の偉大さ。本当にすごいなと思いました。なんで自分の家でも家族でもないのに命を懸けて火災の中に入っていけるんだろう…。正直、今までの消防士のイメージはチャラい・体育会系・飲み会大好きなどでした。だけど火事の中から出てきた真っ黒な消防士の姿を目の当たりにしたことでガラッとイメージが変わりました。本当に本当に感謝です。そして自分の命を大切にしてほしいと思いました。
やっておいた方が良い事
災害にあう前にしておけば良かったと思ったことをまとめておきます。
- 写真や動画をクラウドに上げておく
- ライトの準備
- 防災グッズの準備
- ポータブルトイレグッズ
- 災害時の写真、動画を撮る
- 消火器の使い方を知っておく
- 断捨離
避難した後、最初に心配になったのは家よりも写真や動画のデータでした。服とか家電は買い直せばいいけど、今までの思い出は返ってこないので今後の災害対策のためにクラウドに上げておくのが1番おすすめ。いままで2TのHDDに保存していたけど燃えたら元も子もないし、スマホを落としても復元できるようにクラウドにバックアップをとるべきだなと思いました。
次にライトの準備。明かりがないと本当に不便でした。充電タイプは停電時に充電ができないので乾電池タイプのライトがあれば◎。
防犯グッズは準備していたけど、当時は持ち出す時間も考えもなかったです。玄関に置いておくのが正解だけど変に違和感があったのでクローゼットの手前に保存していました。置き場所は大事ですね。
今回はトイレが使えたので必要なかったですが、ポータブルトイレグッズも必要だと思います。
あとは災害時の写真や動画を撮る。消火活動をしている消防士に失礼なんじゃ…と思い今回は撮影できませんでした。でもあとで見返すために撮っておくのは大事です。
あと、消火器の使い方。消火器を使おうにも使い方がわからない、でも調べている時間もないので、使い方は調べておくべきだなと感じました。
消火器の簡単な使い方が紹介されていたのでこちらもぜひ見てください。
家がごみ屋敷だと荷物の下で火がくすぶってなかなか消えないので、日ごろから片づけておく事も大切です。やっぱり断捨離は大切ですね。
まとめ
今回なかなかできない体験をしたので記録としてまとめてみました。
部屋や自分自身が無傷だったこと以外に、当日たまたま家にいた事・いつもより少し早めにわんこにご飯をあげていた事・たまたま車を路駐していたおかげで現場から出せた事・次の日から旅行だったから停電の被害をほぼ受けなかった事など、たくさんの偶然が不思議と重なり被害は最小限でした。本当にラッキーだったなと思います。
だけど自分はちゃんとしていても隣や上下の階の人が火事を起こせばあっという間に被害を受けます。いつ何が起きても冷静に行動できるようにシミュレーションしておくといいかなと思いました。
今回の経験談が少しでも参考になれば嬉しいです。