AI(Autopsy imaging)はご存じでしょうか?死亡時画像診断といい、CTやMRIでご遺体を撮影し、死因究明の1つに役立てられる検査の一つです。実際はCTがほとんどで、MRIはほぼありません。
私も何度か撮影したことがあり、その時の流れや検査の様子などを説明したいと思います。
AI依頼
最初に救急部などから「CTお願いします」と連絡が入ります。
この時に「AIです」と教えてくれるときもあれば、何も教えてくれなかったけどオーダーの依頼内容を見ると「AI」と書かれていたりします。
この前あったのは「CT1件お願いします。CPA後のCTです」と言われただけでした。
「え、CPA後って急ぎなのに何であんな穏やかなの??」と思い急いで行くと、患者は呼吸器も点滴も何もない状態で顔色は真っ白だったので「あ、CPA後のAIか…」と理解しました。
撮影
CT検査の準備ができたら患者をCT室へ案内します。さっきまで生きていた方なので慎重に検査ベッドへ移動させます。全身の力が抜けていて、特に頭がグラグラな事と、筋力がなくなり便が出るので移動の際は要注意。
移動完了したら全身撮影。
いつもは被ばく低減のために低線量で撮影しますが、AIの時は画質優先で撮影します。
CPA後の撮影が多いからか、心臓マッサージによる肋骨骨折はよくあります。
CTでパっと見て分かる死因は心タンポナーデ、大動脈解離、内臓破裂、心臓破裂、出血などだと思います。
ずいぶん前に「造影できますか?」と聞かれたことがあるのですが、亡くなった後だと血流がないので造影剤は注入した場所にとどまったままとなり無意味です。
退室
撮影終了したら元のベッドへ移動し、救急室へ戻ります。
患者の下に防水シーツを敷いているのでベッドが汚れる事はあまりなく、私が経験して症例では軽く清掃するくらいで大丈夫でした。
撮影後の気持ちとしては、さっきまで生きていたのになぁ…と思ったりします。AIを撮るという事は、今まで特に病気も見つかっておらず急に亡くなったため死因究明が必要というパターンがほとんどです。
その後は普通の検査がまた始まるので、AI後のベッドに寝るは当たり前にあります。
まとめ

今日はまじめな話でした。
こういった話は苦手な方も多いのでどうしようかなと思ったのですが、この情報が役立つ方もいるのであればと思い記事にしました。
死を受け入れるって頭では分かっていても感情が追い付かないので難しいですね。
生きている限り死は必ず訪れるので、家族や亡くなられた本人が納得できる形になればと思います。
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